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~散花~
第17章 密談
――鶯燕館の片隅で女が三人、内緒話を咲かせていた。
「うまく行ったわ。二人のおかげよ」
「あの子が鶯燕館をうろついていた時には、心臓が止まりそうになりましたが…」
「でも、かえってそれがまた事をうまくしてくれたわね」
「あなたの急病人の演技もたいしたものだったし」
「それほどでも…。御守りを使うというあなたの発案も見上げたものだわ」
「とにもかくにも、あの子はこれで転落間違いなしね」
「いい気味。たかが郡衙の役人の娘ふぜいが、皇太后さまのお目に留まるなんて生意気なのよ」
「ところで皇太后さまのご寝所を本当に覗けたの?」
「いいえ、御簾や几帳が何枚も重なっていて…声も聴こえなかったわ」
「まあ残念。真っ昼間から皇太后さまが何をなさっているのか、興味がありましたのに」