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~散花~
第2章 決意
「これは、ほんのお支度金代わりです。今後は、玉蘭さんがご自身の意志で送金なさるであろう仕送りとは別に、後見人として、私からもこれと同額の金子を毎月送らせていただきます」
「ありがたいことにございます。ありがたいことにございます…」
額づきながら范貴人に謝辞を繰り返す母の手は、しっかりと金子の袋を握りしめていた。
「では玉蘭さん、参りましょう」
促す范貴人に、玉蘭は静かに頷いた。
病床の父に挨拶し、弟妹に別れを告げ、数分でまとめた簡単な手荷物を片手に、玉蘭は16年過ごした実家の門扉をくぐった。
別れ際、母が持たせてくれたのは小さなお守りだった。