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~散花~
第26章 波紋1
芙蓉と皇后は、もともと3才違いの乳姉妹だった。
小さい頃から同じ屋敷で育ち、遊び、学んできた。
皇后が、当時まだ東宮だった蒼牙の正妃として後宮に入内したのは、3年前。芙蓉も尚侍として付き従った。
皇后はすぐ懐妊し、姫宮を出産した。
芙蓉は安堵していた。
いずれ姫姉さまは男皇子をお産みあそばす。その皇子が立太子となれば、名実共に後宮の女主人、そしてゆくゆくは国母さまとなるのだ。
芙蓉の胸は喜びと期待でふくらんでいた。
しかし――
姫宮懐妊後、今日にいたるまで帝が皇后をお召しになることはなかった。