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~散花~
第26章 波紋1
やむを得ない事情が、あるにはあった。
皇后が姫宮を懐妊した頃、父帝が病に倒れてしまったのだ。
そこで当時22才の若き東宮だった蒼牙は、摂政として政務を代行することになり多忙を極めていた。
そして一年前、父帝は崩御し、即位した蒼牙は鳳凰殿へ、皇后は玄武殿へ移り住むことになり、ますます距離が開いてしまった。
それに加え――
(せめて皇后さまが、あともう少し明るいご性格になってくだされば…)
心配性で悲観的、それを表情にも口にも出してしまう皇后を、帝が鬱陶しく感じたとしても無理はない。