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~散花~
第30章 母と息子
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「秀瑛が?」
「はい。あれはあれで、後宮のこと、朝廷のこと、ひいては国政のことまで…しっかりと考えてくれているのですよ。人材を見極める目は、母上ゆずりです」
「そうか、秀瑛が…」
まんざらでもなさそうに皇太后は煙草をふかした。
「今や秀瑛はわたくしの右腕。その秀瑛が“間違いない”と推したのです。わたくしは弟の言を信じたいと思います」
「そうか…そうか……」
皇太后は相好を崩した。そこにあるのは完全に母親の顔である。
「まったく、古今東西、兄と弟の諍い話には事欠かぬものだというのに…、わが息子たちはまこと仲がよく母は嬉しい」
「そのような弟を授けてくださった母上に、わたくしは感謝しております」
蒼牙は再び母の手を握った。
「まぁ、陛下ったら…」
その手を皇太后が振り払うことはなかった。
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