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~散花~
第30章  母と息子

「そういうことならば、母が溜飲を下げるよりほかあるまい…」

皇太后は肩をすくめた。

蒼牙は、すっかり懐柔された母親に茶を差し出した。

秀瑛の入れ知恵による説得がこれほど効を奏するとは。

(さすが弟。母上の性格を熟知している)

蒼牙は内心でほくそ笑んだ。

皇太后は茶を啜りながら、

「女官長のことは、わらわが宥めておこう」

「感謝します。まこと後宮は母上なくして立ち行きませぬ」

「わらわも早く隠居したいものじゃが…」

心にもないことを、澄ました顔でつぶやく。

「そのためにも、帝には早うお世継ぎをあげていただかねばの。よう励みや」

「はい…」

蒼牙の苦笑。

雲行きが怪しくなってきた。しかしせっかく取り戻した母の機嫌を再び損ねたくはない。

(親孝行と思って付き合うか…)

目をらんらんとさせた母の説教は夜更けまで続いた。




     30章 完




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