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~散花~
第33章 覚悟
「おい!! まずは無事に後宮へ入れたことへの礼を言うべきだろうが」
「あ…」
「恩人に、きちんと両手をついて感謝をしなさい」
トントンと、指先で寝具を叩く。まるで親か師匠のような口振りだ。
その姿と仔犬のような童顔とのギャップに、
「くくっ…」
思わず玉蘭は噴き出してしまった。
秀瑛の眉間に縦皺が寄る。
玉蘭は慌てて上半身を起こした。寝台の上で正座し両手をつく。
「このたびは、入内にあたりひとかたならぬご尽力をいただきまして、まことにありがとう存じます」
「うむ」
尤もらしく秀瑛は頷いた。
「おまえをここに入れるためにずいぶん知恵を絞ったんだからな」