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~散花~
第34章 余韻
鼻をつまんで、加蓮が煎じてくれた胃薬をいっきに飲み干す。
(苦っ……)
けれど、連日のご馳走でもたれた胃には清々しい。
玉蘭は居室の長椅子に足を投げ出した。
(どの宴にも、秀瑛さまの姿はなかった…)
いつだったか、芙蓉が「滅多にお目にかかることはない」と言っていたように、後宮内での秀瑛の存在感はかなり薄い。
わざと薄くしているのかもしれないが。
あれから今日で六日。
もう昼過ぎだが――
「ねえ、加蓮。秀瑛さまは、今日はもうこちらにはお見えにならないのかしら」
「あいにくご連絡はいただいておりません。殿下には外廷でのお役目もございますから、お忙しいのかもしれません」
加蓮は素っ気なく首を振った。