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~散花~
第34章 余韻
そのとき、舎殿の外から物々しいざわめきが聞こえてきた。
「琳夫人さま、上意でございます。お出ましくださいませ」
初めて聞く女官の声。
“上意”ということは、鳳凰殿の女官が皇帝の内意を伝えにきたということだ。
胸が高鳴る。
玉蘭は加蓮と共に露台へ走り出た。
基壇の下に、20人以上の女官たちが一糸乱れぬ隊列を組んで控えていた。
皆、身につけているオーラといい衣裳や装飾といい、紅梅宮の一般女官なんかとは明らかに格が違う、上級女官だ。
その中の一人が進み出て玉蘭を見上げた。
恭しく口を開く。
「申し上げます。帝におかせられましては、今宵、琳夫人さまを鳳凰殿にお召しでございます」