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~散花~
第34章 余韻
その頃、芙蓉は自分の小さな居室の窓から、玉蘭の晴れやかな一行を眺めていた。
他の側妃のように端近にまで出て見物するなど、はしたない真似はしたくなかった。
朱佳が恨めしげな表情を浮かべて傍らに控えている。
芙蓉は気付かれないように小さくため息を落とした。
第七夫人となってからかれこれ1年。帝とはろくに顔も合わせていない。
月に一度の謁見ではじかに御言葉を賜るし、他の者に比べれば賜餐を受ける回数も多い。
全く存在を忘れられてしまったわけではないとは思う。
けれどこのままでは、皇后と同じ形ばかりの妃で終わってしまう…。