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~散花~
第47章 魔物の栖
『今朝は第一夫人さまはいらっしゃらないのね』
『え…? あら、そう言われてみれば』
『昨夕の南殿の騒ぎ、ご存知ありません?』
『琳夫人さまがお倒れになったとか』
『まぁ、そうなの? お気の毒に』
『いやだわ…瘧かしら』
『お見舞いに参上したほうが良いと思います?』
『けれど今の南殿って、ひっそりとして陰気臭くて、なんだか不気味なのよね』
『芙蓉さまがお住まいの頃は、よくお招きくださっていましたけれど』
『御付き内侍は無愛想だし…』
『琳夫人さま自体いつも地味で、いるのかいないのかよく判りませんしね』
『クスクス、確かに』
『結局、趙夫人さまに代わる側妃筆頭はいないのよ』
『しっ…そろそろ皇后さまと皇太后さまがお見えになりますわ』