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~散花~
第47章 魔物の栖
朝見を控えた青龍殿の前庭は、集った妃たちの世間話・噂話でいつも沸きかえる。
そのひそひそ話を背に聞きながら、芙蓉はひとり集団の先頭に立っていた。
平静を装っているものの、胸中は穏やかではない。
(たしかに私は、あの人に嫉妬していた)
それは認める。
(黒い気持ちを抱いたこともあった)
けれど……、
(まさかその気持ちが、朱佳をあのような行動へと導いてしまうなんて――)
芙蓉は自分の頭を覆って蹲りたかった。
今さらながら恐ろしくなり、がたがたと足が震えていた。