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~散花~
第48章 散花
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「皇太后さま…こちらにお出座しでいらっしゃいましたか」
尚侍が口を開く。
「お出迎えもせず、ご無礼をいたしました」
「気にせずともよい。帝が夕餉にお誘いくださっての…話が弾みこの時間になってしまったが、これより青龍殿へ戻るところじゃ」
お酒も入っているのか、機嫌がよさそうだ。
「ではお見送り申し上げます」
「かまわぬ。夜の御召しなのであろう?」
後半の台詞は玉蘭に向けてのものである。
玉蘭はさらに深く頭を垂れた。
皇太后の豪華な綸子が目にまぶしい。裾に大輪の牡丹が描かれている。
パシッ、と肩に扇の先端を当てられ玉蘭は息を呑んだ。
「皇后不在の分も、よう励みや」
「…は…はい。謹んでお務め申し上げます…」
玉蘭が畏まると、皇太后は満足したように鈴のような笑い声を立てながら歩廊の奥へ消えていった。
再び、あたりは闇と静寂に包まれた。
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