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執事とお嬢様の禁断の模様
第6章 真相
「高熱が出ていますね…」
ベッドに寝ている妃奈浬を見ながら、話す医師。
眼鏡の奥の瞳は、少し心配そうだ。
妃奈浬を小さい頃から見てきたから、
きっと孫のような目で見ているのだろう。
「さっき触れたときも、熱かったんです」
そう私が言うと、
医師はコクンとうなずいた。
「ええ…ですが、異常はないので
風邪でもないようです」
「…? 異常がないのに、熱とは……」
「多分、ストレスのせいでしょう…
ストレスがたまって、
熱が出てしまう患者もいるのですよ。
お嬢様の場合は多分…
最近落ち込むことがあったのでしょう。
浅葱さん、なにか覚えはありませんか?」
「……っ」
心配そうに言う医師に、少し胸が痛む。
覚えはあるが、言うわけにはいかない。
「…いいえ」
私はしかたなく嘘を言った。
「そうですか…」
医師はますます心配そうだ。
「ところで、薬は……」
「ええ、薬なんですがね…ストレス性ですから、
解熱剤は効かないのですよ。
だから熱が下がるまで待つしか…。
ストレスの原因を解決しないと、
なかなか治らない場合もあります。
とにかく、安静にしておいてください」
「…はい」
私は不安が募る中、医師と別れた。
とりあえず、意識が戻るまで側にいよう…
私は妃奈浬の側のイスに座って、
目が覚めるのを待つことにした。