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執事とお嬢様の禁断の模様
第2章 同志
 沙耶香はきょとんとして


「え~大っ嫌いだよ☆」


 と、沙耶香は遠慮なしに、にこにこのまま言った。

 ある意味予想はついてたことだったので、
私は沙耶香に気づかれないくらい、小さなため息を吐いた。


「まぁそれは……そうだよね」

「でも…孝博さんだったら、いいけどね」


 小声で少し顔を赤らめて言う沙耶香。

 まつげが伏せられるから、まつげがよく見える。
 まつげ長い……綺麗でいいなぁ…


「そっか…私は好きな人でもあんまり…」

「そう? 怒った顔もかっこいいし…なにより、
私のこと想ってくれてるんだなって」

「…そういう考え方もあるね…確かに」

「だって…好きになるとそんなもんじゃない?」

「そうかなぁ…多分、沙耶香のほうが好きな期間長いから……」


 そう言って苦笑いする私。


 だって妃奈利は、小学5年生から孝博さんを好きだった。
 でも私は、中学2年生から……

 3年も違うのに、敵うわけない。

 そんなのわかってるのに、どこかで悔しがっている私がいる。


 でも…悔しいって思ってる時点で、私そんなに浅葱のこと好きでもなかったんだ……


 私がもやもやしていると、沙耶香は優しく笑って声をかけてくれた。


「…そうかもね。でもきっと妃奈浬も……そういうふうに思える日が来るよ」

「そう……かな。自信ない…」

「大丈夫! それに妃奈浬はもうすでに両想いなわけなんだし、
私より簡単だよ。元気出して!」

「うん…ありがとう」


 一応笑ってはみるものの、多分、ぎこちなくなってしまったんだと思う。

 沙耶香は真顔で私をじっと見た。


「えっと……」

「…人を好きな気持ちって、量れるものでもないと思うんだよね」

「………」


 沙耶香は私の心を読み取ったように、言葉をつむぐ。


「だから、ね、好きの基準なんてないと思うの。
だから…気にしなくても大丈夫だから、元気出して」

「…あ、ありがとう…」

「どういたしまして」


 沙耶香はまたにこっと笑う。


「でもね……私ひとつ、不安なことがあるの」

「ん?」
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