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執事とお嬢様の禁断の模様
第8章 最後に……

寂しさと切なさが混ざって、悲しみができた。
そして悲しみから、涙ができあがる。
その涙は生暖かく頬を伝ったが、
空気にさらされ、私の腕に落ちた時には冷たかった。
その冷たさは、秀一がいなくなって
がらんどうなこの部屋を表しているようで。
秀一がいないことを再確認してしまい、
また涙が浮かぶ。
「っ…秀一……」
秀一の名を呼んでも、今や
虚しく部屋の空気に溶けていくだけ。
返事がないのはわかっていたのに、
余計に悲しくなってしまう。
「っ……」
私は朝食まで、かつて秀一がいた部屋で
声を殺しながら泣いていた―――

