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執事とお嬢様の禁断の模様
第9章 あなたがいない未来

「……妃奈浬お嬢様……」
「っ……」
私は指で涙を拭う。
もういい。
泣いてもなんにもならない……
「…出過ぎたことを言ってしまい、
申し訳ございませんでした」
「…ううん、気にしないで」
私は少しだけ京子さんに笑いかけた。
もちろん、心の底から笑ったわけではなくて、
京子さんを安心させるため。
もっとも、頬の筋肉は張りついたように動かない。
眼も笑っていないだろうから、
気休めにしかならないだろうけど……
案の定京子さんは、
ますます心配そうに私を見つめてきた。
「……妃奈浬お嬢様はまるで、雪の精のようですね」
「え……?」
雪の精……?

