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執事とお嬢様の禁断の模様
第5章 繋がらぬ想い

キキッ…
ハッと気がつくと、車がいつもより
ほんの少し大きく揺れ、停車音が聞こえた。
色々と思考をめぐらせている内に、
お屋敷についたらしい。
ふと右側を見ると、
秀一が黙って手を差し伸べていた。
私はなんの疑問も感じずに、
秀一の手に手を重ねようと手を伸ばす。
<触れてはダメ…>
「……っっ!!」
頭の中で自分の声が聞こえ、
ぼやっとしていた感覚がはっきりとしてきた。
思わず伸ばしかけていた手を止める。
視界に映るのは、微かに震えている自分の手と、
私に手を差し出し、困惑した表情の秀一。
私はその構図に思わず顔を歪めた。
「…妃奈浬お嬢様……?」
どうしたのかと言いたげな秀一。
私は秀一を見つめ、
顔を歪めたまま静かにゆっくりと首を横に振った。
「……自分で…降りられるから……」
「っ…かしこまりました…」
秀一は私の一言に手を引っ込め、
ドアから離れた。
ふと見せた切なげな表情が、
私の胸を締めつける。
……やっぱり…
触れられない……
触れたら……
絶対抑えられなくなるもの……

