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キスマーク
第1章 口
その言葉を聞いて
あぁ、私は少なくとも自己紹介はしたんだ――――
と思った。
でも私はこのイケメンの名前が さっぱり思い出せない。

「ごめん。あなたのこと、何一つ思い出せないんだけど」
ここは正直に言うべきだと思って 名前を聞くつもりで言ってみたら
「昨日のセックスも思い出せない?上野優衣ちゃん」
と笑いながら聞いてきた・・・

「あれが思い出せないなんて、残念だな」
クックックと笑うその意地悪そうな顔も
整いすぎていて怖いぐらいだ。

あなたとのエッチを思い出せないなんて私も残念だよ。
そんな風に思うのは、好みの顔だからか?

しかし、今までにこんなことはしたこともされたこともない。
新しい大きなプロジェクトを前に
疲れて酔いが早く回ったのか。

酔った後に会ったの?
簡単に自己紹介した自分自身に呆れる。





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