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魅惑的な指先
第1章 プロローグ
--- ガタン…ゴトン…


毎日、この電車に身を揺らされている。
最寄り駅から下車するまで、片道20分。

この短いような、長いような微妙な乗車時間内に、
まるで日課とでもいうかの如く、私の体をまさぐる手が伸びてくるんだ…。


ほら…今日もまた…
私のパンツスーツの上から感じる体温。


痴漢にも個性があるのだろう。


手の甲で、偶然を装いながら少しずつ掌を向ける人。
遠慮なしに大胆に、鷲掴みにする人。


それが上半身でも下半身でも同じこと。


今日のその手は、後者のようだった…。



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