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魅惑的な指先
第2章 謎の紳士
胸元のボタンが弾け飛んでから、はだける胸元を片手で掴みながらそれを隠した。


今日に限って、元々襟首の開いたシャツを選んでいたからか、開いた胸元はたくし寄せなければ隠せない…。


おまけに、いつもは社のロッカーにスペアを一着用意してあるのに、それを昨日持ち帰ってしまっていたんだ。


会議中、こんな風に胸元を押さえているわけにもいかない。
緊張していると感じられてしまうと、見下されてしまう。


胸元を押さえたまま俯き立ち止まっていた私。

その私の俯いていた視線に、男性の革靴が目に入った。
びくびくしながら視線をその男性に向けると、そこにはビジネスマンとは異なるラメ入りのスーツを身に纏っていて…

その男性は、上着の内ポケットから布を取り出した。



「スカーフとまではいかないけれど、大判なハンカチならそれを隠せないだろうか?」



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