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マネキンなカノジョ
第2章 カノジョとランジェリー
 
「じゃあ、取り敢えず確認ね」

 壁に背中を預けて座る明日香の前に、上体を倒して笑みを浮かべる先輩。

「うん」

「それじゃ、ちょっと膝を立てて座ってみてよ」

「…こう?」

 言われた通りに女の子座りをしていた脚を、膝を揃えて立てる。

 制服のスカートが擦れて太腿が露わになりそうになるのを、膝を両腕で抱き抱える事で防ぐ。

「明日香ちゃん、ダメだよ」

 体育座りになった瞬間、先輩のダメ出しの声。

「ん?」

 思わず見上げてみると、額に手を当てて顔を顰めた先輩の姿。

「膝を開いて座らないと意味ないからね」

「でも…そうしたら、スカートの中……」

 言い聞かせる様に言う先輩に、反論の声を飛ばす。

「だから、確認だって」

「確認って…なんの? それに…周りから見えちゃうかも……」

 少し頭を振れば、ガラス張りの高いビルばかり。

 そのビルの中で動く人影が見えるという事は、逆にコチラも見られているかもしれない。

「気にしすぎだよ。それに、距離はあるから殆ど見えないって」

「…でも……」

 膝を開かせようと躍起になる先輩の言葉に、いまいち乗り切れない。

「それに、確認はアイツの為だしさぁ」

「分かった」

 先輩の口から飛び出した言葉に即答する。

 了解したのが嬉しかったのか、先輩はニヤニヤした表情を隠そうとはしなかった。
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