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マネキンなカノジョ
第5章 カノジョとお使い
「もうっ! 何処に居るのよっ!!
雨は酷いし道に迷うし、散々だわっ」
車の中で喚く。
外を見回せば、相変わらず雨がザーザーと降りしきる田園風景。
外灯も無い暗闇の中で、途方に暮れていた。
「全く…エアコンも壊れちゃうとか信じられないっ」
余り利かないと感じた時には遅かった。
冷風だったのがやがて熱風へと変わり、堪らず窓を開けて暖気を逃した。
しかし、外は大雨。
僅かにしか窓を開けられず、逃げ切れない熱気は車内に残っていた。
「あーつーいーっ」
暗闇と車内に一人だけという状況。
無意識に制服のスカートをパタパタと扇ぐ。
ベストのボタンを外し、リボンを投げ捨てたブラウスの胸元は開けている。
胸の谷間に汗が滴る。
「アタシでこれなんだから…。あの娘なら…もっと…ね……」
谷間が蒸れる不快感に、思わず明日香を思い浮かべた。
巨乳と言われても、明日香の爆乳には勝てない。
周りの男たちが隠れて、明日香とセットで牛乳【ウシチチ】姉妹と呼んでいるのは知っている。
それでもやはり、明日香の方が注目の的だった。
「ま…。今更嫉んでも仕方ないけどね………」
ハンドルに凭れて、自嘲気味に薄く笑う。
不意に、助手席に放り投げていた携帯が鳴り出した。