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マネキンなカノジョ
第5章 カノジョとお使い
トロトロと細い道に車を走らせる。
明かりも無く、頼りになるのはヘッドライトだけ。
「もう…明日香……何処よぉ……」
泣きが入る。
あれから携帯は一度も見ていない。
「あれはアタシじゃない…」
雨も止んで、窓を全開にしながら走らせる。
言い訳するように話しても、ほかに誰も居ないのは当然。
それでも、さっきの有様を思い出すと、恥ずかしくって言いたくなる。
「アタシに涙なんて…いらないんだから…」
言い聞かせながら、辺りを見回す。
半ば、このまま見付からなければ…と邪な感情が芽生える。
「ダメダメっ。あの娘はアタシが居ないと……」
運転中だけど、頭を振って感情を追い払う。
頭に小さい頃からの明日香の姿が浮かぶ。
ずっと一緒だった、幼馴染み。
大人になって、純粋だった心が薄汚れていった。
カラダも大人になって変わった。
でも、明日香はいつまでも明日香らしく居て欲しい。
「…考え込むなんて……。アタシらしくないなぁ……」
全部アイツのせいだと八つ当たりをしながら、辺りを見回した。
「…あれ?」
左脚が思い切りペダルを踏んで車を止めた。
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