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マネキンなカノジョ
第6章 カノジョと砂浜
「それ…なに?」
明日香が持っている小さな紙袋。
指先で抓んでプラプラさせているから気になって仕方ない。
「…渡された」
誰に?なんて聞かない。
何と無く想像はついた。
「何が入ってるの?」
「…水着…」
嫌な予感がハンパない。
と言うか、嫌な予感しかしない。
「…アンタ…水着は?」
「…これだけ」
抓んだ紙袋をヒョイと上げる明日香。
「…持って来ないでいいって…」
「……………」
確実に何かあるとしか思えない。
…でも…海に来てるんだし…
いくら何でも……ね………
チラチラと周りを見れば人だらけ。
中にはこっちを見ている男たちも居る。
杞憂であれと思いつつ、熱砂に苦労しながら歩く。
パラソルから数分で海の家に到着。
賑わっている砂浜には不釣り合いなくらいにボロボロだった。
「更衣室貸してくださぁい」
声を掛ければヨボヨボのお爺さんが出て来た。
…ここ…大丈夫なの?……
一抹の不安を抱えた儘、何とか借りる事に成功。
屋外にある板で仕切られただけの、簡易的な更衣室の扉を開ける。
「…終わったら待ってる」
明日香が中へと入ったのを見送ってから、続いて更衣室に脚を踏み入れた。