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マネキンなカノジョ
第6章 カノジョと砂浜
右を見る。
ポカッと空いた大穴。
左を見る。
大きな胸を更に張り、Tシャツの図柄を伸びきらせる明日香ちゃん。
腕を曲げて、力瘤を見せようとしている。
「いや…筋肉出てないから」
思わず苦笑。
「…むぅ…」
膨れる明日香ちゃん。
まさか、明日香ちゃんの細腕で引き上げられるとは思わなかった。
首を掴まれ、容易くズボッと砂から抜かれた。
首の痛みより、水着が脱げるか気になって仕方なかった。
「ま、まぁ…。助かったよ…。ありがとう」
「……どういたしまして…」
素っ気ない返事ながら、顔はほんのり赤らんでいた。
「それにしても…アイツらおっせぇなぁ……」
尻の下が砂の熱さでチリチリしてくる。
「…おっそい…」
明日香ちゃんはパラソルの下に避難していた。
いつ買ったのか分からないかき氷を頬張り、頭の痛みに顔を顰めている。
「…そんな焦らなくても…。別に取ったりしないから…」
「…頭…痛いのが…また良い……」
明日香ちゃんのマゾ疑惑を強めながら苦笑。
「…あ…」
綺麗な顔立ちを歪めていた明日香ちゃんの声に釣られて顔を向ける。
明日香ちゃんが見ている先にはアイツが居た。
しかも、両脇に若い女を携えて。
「羨ましい…」
思わず口に出た。
ジトーッとした視線を感じる。
言わずもがな、明日香ちゃんからの視線。
「……………」
スプーンを咥えた儘の無言の圧力。
「あ…いや……その………」
「……………」
「あ、アイツ…何してんだろな?」
耐えられなくなって、視線をアイツに向けた。
「…どっか…行った……」
明日香ちゃんの言葉通り、アイツの姿は人混みに紛れて見えなかった。