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マネキンなカノジョ
第6章 カノジョと砂浜
 
「美奈も戻って来ねぇし…。どうしようもねぇなぁ……」

 強い陽射しに目を細めて見回す。

 比較的人混みが少ない場所を陣取っていても、やはり賑わっている海水浴場。

 白いビキニ姿の女の娘の姿に鼻の下が伸びそうになる。

「…どうしようもねぇなぁ…」

 口真似をする明日香ちゃん。

 パラソルの下で陽射しから逃げるように場所を変えながらバッグを漁っていた。

「…確実に…日焼けしそ……」

 取り出した日焼け止めを手で伸ばして塗り始める。

「これだけ強いとなぁ…。
 美奈は真っ黒だけど、明日香ちゃんはきっついよね」

 健康的な美奈の小麦色の肌に対して、白雪の様に真っ白な明日香ちゃんの肌。

 僅かな時間しか居ないにも拘わらず、既にほんのり赤くなっていた。

 細い腕と、形の良い脚にクリームを塗る明日香ちゃん。

 短くなった美奈のTシャツから覗いているウエストにも、そのしなやかな指を滑らせている。

 ふと、キョロキョロ辺りを見回した。

 美奈の姿も無ければ、アイツの姿も無い。

 そればかりか人通りも少なく、誰もこっちを見ていない。


…これは…もしや……


 鎮まり掛かっていた欲望がムクムクと甦ってきた。

 思わず口角が上がる。


…この状況…
俺に運が回ってきたっ…


 明日香ちゃんにバレないように小さくガッツポーズ。

 俯いてペタペタとクリームを塗る明日香ちゃんにゆっくり近付いた。

「明日香ちゃんさぁ…」

 綺麗な顔立ちを向ける明日香ちゃんを前に、更に言葉を続けた。
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