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マネキンなカノジョ
第6章 カノジョと砂浜
 
「相変わらず美奈戻って来ねぇし…。俺が塗れないトコ塗ってあげるよ」

「…いい…」

 最初は拒否されると分かっていた。

 しかし食い下がる。

「いつまでも美奈のシャツ着てらんないし、それじゃ海入れないでしょ?」

「…美奈ちゃん…着てろって……」

 美奈に先手を打たれていた。

 明日香ちゃんの性格なら、言われた事に素直に従うに決まっている。

「でも、ほら…」

 まだまだ食い下がる。

「クリーム塗っても焼けちゃう事あるしさぁ」

「……確かに……」

 明日香ちゃんが食い付いた。

「シャツとかショートパンツの跡が残るのイヤでしょ?」

「…ごもっとも……」

 これはイケると、内心でガッツポーズ。

 明日香ちゃんの澄んだ瞳に見詰められながら、にやけそうになる表情を堪える。

「だから、背中とかもさぁ」

「…うーん…」

「それに………。
 アイツも…そんな跡はイヤだろうしねぇ」

「任せた」

 ポイッと投げられた日焼け止めを受け取った。
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