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マネキンなカノジョ
第6章 カノジョと砂浜
 
…もう…アイツなんて……
アイツが助けになんて……来る訳ないんだし……
もう…アタシ…なんか………


 追い掛けるより、求められる方が気が楽でいい。

 譬え、体が目的でも、アイツとは違ってコイツは見てくれている。

 告白出来なかった自分の意気地無さに腹が立つ。

 でも、もういい。

 アイツはアタシじゃなくても、さっきみたいに他の女の娘が放っておかない。

 明日香に対して、やきもきしなくて済む。

 何もかもに諦めかけていた時だった。

「なぁにやってんだぁ?」

 突然の野太い声。

 ヒデアキの声でも無いのは確かだった。

 現に、動きが止まった腕が動揺を感じさせる。

 かと言って、バカ兄貴でもアイツでも無い声だった。

 第三者の登場で、裸に近い体がますます強張る。

 海中の剥き出しになっているお尻に気付かれ無い事を祈る。

「な、何だ……っひ…」

 強気だったヒデアキの声が、次の瞬間には震えていた。

 チャラいコイツが怯える程の相手。

 気になって、視線を向けてみた。

 ヒデアキが怯える理由が頷けた。
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