この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
マネキンなカノジョ
第6章 カノジョと砂浜
「…おい…」
素っ頓狂な声を出すヒデアキに、大男の鋭い視線が向けられた。
「俺ぁ、監視員やってんだけどよぉ。
ちょっと話…聞こうかぁ」
良く見れば、水着にそれらしいマークが付いていた。
余りにも監視員らしくない監視員。
どちらかと言えば、プロレスラーや格闘家の方がしっくりくる。
「ちょ、ちょっと待って……おい、ミナっ!」
態度を変えて肩を掴んでくる。
この際、呼び捨てには目を瞑る。
必死になったヒデアキに体を揺すられる。
しかし、胸とアソコを腕で隠した儘、そっぽを向いた。
「観念しろや、アンちゃんよぉ?」
「ひっ! い、イヤぁぁぁっ!!」
ヒデアキの断末魔の叫び。
聞こえない事にする。
体の揺れが収まり、肩にあったヒデアキの手の感触が無くなった。
ザブザブと水を掻き分ける音。
「ミナっ、ミナっ、ミナぁぁぁっ」
勝手に名前を連呼するヒデアキ。
その声も徐々に小さくなっていった。
後に残ったのは、波の音だけだった。
「…あ……。水着……どうしよ……」
ヒデアキは居なくなった。
でも、海から出る事はまだ出来なかった。
−−−−−−−−
−−−−−
−−