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マネキンなカノジョ
第7章 カノジョとお泊り
漸く波の音が聞こえるようになった。
海岸沿いにあるリゾートマンション。
先輩の知り合いのツテで借りたらしい。
リゾートマンションと片仮名で言っても、中は純和風だった。
十二帖と六帖の和室にキッチンとバス完備。
「…ごろごろ…」
畳の匂いを嗅ぎながら、十二帖の部屋を転がる。
「明日香、はしたないわよっ。
スカート捲れてるっ」
見てみたら太腿まで出てた。
男二人にばっちり見られてた。
そして、美奈ちゃんは凶暴さを増していた。
「…ててて…。でだ…」
先輩の顔の治りが、段々早くなっている気がする。
さっきまでボコボコだったのに、早くもいつものチャラ男になっていた。
「風呂は下にも大浴場がある。露天風呂も完備だ」
座り直して頷く。
「しかし……」
先輩がみんなを見回す。
「なによ?」
美奈ちゃん、すっかり喧嘩腰。
男は相変わらず空気。
「食事が無い」
「はぁっ!?」
美奈ちゃん一人で三人分の声。
そのうち、お隣りから苦情が来そうでビクビクする。
「正確には、食材を買い忘れた」
「…バカ兄貴…」
美奈ちゃんの視線が冷たい。
申し訳なさそうに小さくなる先輩。
「と言う事で…だ…」
つらつらと話す先輩。
「…まぁ、ご飯食べるトコ無いんじゃねぇ…」
「下の店は改装中らしくってな…」
溜息混じりの美奈ちゃん。
兄妹だけでどんどん話が進んでいく。
「…分かったわよっ。行ってくればいいんでしょっ」
バッグを持って玄関に向かう美奈ちゃん。
「暗くなるし、お前も行ってこいよ」
男は漸く、空気から脱出出来そう。
「…あ。…美奈ちゃん……」
ドアノブに手を掛けた美奈ちゃんに言わなきゃいけない事があった。
「なに?」
手を掛けた儘で振り向く。
「……ブラ……忘れずにね…」
美奈ちゃんは顔を真っ赤にして、もう一つの部屋に駆け込んでいった。