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マネキンなカノジョ
第7章 カノジョとお泊り
 
 バタンッと扉が閉まる。

 部屋に残ったのは、当然先輩と二人だけ。

 人口密度が半分になったせいではないかもしれないけど、開け放ったバルコニーの窓から入る風が涼しくて心地好い。

 脚をだらーんと放り出して、風の心地好さを堪能する。

 先輩は部屋の片隅で、荷物をゴソゴソと漁っていた。

 男女四人でお泊り。

 何も抵抗は無かった。

 砂浜で先輩にアソコまで触られちゃってるけど、気不味さは無かった。

 一人空気だけど、みんな昔から仲は悪くない。

 だから、何気にお泊りも楽しみだった。

「明日香ちゃん、これこれっ」

 物思いに耽っていたら、先輩が小さい紙袋を投げてきた。

 ポスッと掌に乗った小さな紙袋。

 あの店の名前が入ったお馴染みの紙袋だった。

「…これ…」

 中身は大体想像付くけど訊いてみる。

「明日香ちゃん、言ったの持って来たでしょ?」

 察しは付くので頷く。

 先輩の顔がニヤニヤしだした。

「それも一緒に…ね…」

 紙袋の中を覗いてみる。

 やっぱり何らかの布切れが入っていた。

 先輩を見てみる。

 ニヤニヤ度が増していた。

「アイツら居ないしさ…」

 言いたい事は分かった。

「暫く帰って来ないし、今の内に…ね」

 顔がカアッと熱くなってきた。

 日の沈み掛けた外からの涼しい風も効かないくらい、胸の鼓動もドキドキ早まってくる。

「…分かっ…た…」

 紙袋を手に立ち上がる。

 一度荷物の所に行ってから、両手に小さな紙袋を持ってバスルームに向かう。

「覗いたりしないから、ゆっくりねぇ」

「…煩い…」

 パタンッと扉を閉めて、トイレと浴室を兼ねた小部屋に籠もった。


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