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マネキンなカノジョ
第7章 カノジョとお泊り
立ち止まって振り返る。
アイツも怪訝な顔をしながら止まる。
夕日がアイツの顔を照らしている。
良くも悪くもない顔が、良い方に数割増しで見えてくる。
ドキドキが早い。
顔が熱い。
きっと顔は真っ赤になってる。
夕日が射していて助かった。
俯きそうになるのを堪えて、アイツを見詰める。
「ど、どうした…?」
いきなり立ち止まって赤い顔で真剣な表情をされたら、誰だってそう言うかもしれない。
言葉を促されてるようで、鼓動が早まる。
言わなきゃいけないのに、口が開いてくれない。
実際は少し開いても、言葉が喉を通らない。
…アタシ…こんなウブだったっけ……
山と海に挟まれた車道。
周りには誰も居ない。
車なんて、たまにしか通らない。
聞こえるのは波の音と、蜩【ヒグラシ】の鳴き声。
こんなシチュエーションが、もしかしたら奥手にさせてるのかもしれない。
ショートパンツの前で合わせた指が、何度も組み変わる。
「早くしないと暗くならないか?」
人の気も知らないコイツは、周りをキョロキョロしだして時間を気にしてる。
それでも、踏ん切りがつかない。
「…明日香も心配するだろうしさぁ」
「アタシ、アンタが好きなの」