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マネキンなカノジョ
第7章 カノジョとお泊り
昔から兄貴のような存在だったアイツ。
その顔が間近にある。
間近なんてモンじゃない。
くっついてる。
こんな歳だから初めてじゃないけど、唇の感触に胸の鼓動が早まっている。
幼馴染みの唇の感触。
目なんて開けられない。
アイツはどうせ、驚いてるだけ。
実力行使しなきゃ分からない、鈍いヤツ。
それでも、これで分かったはず。
時間にして数秒だったかもしれない。
でも、長く感じた。
顔を離しても上げられなかった。
「こ、これで分かるでしょっ!?」
耳まで熱い。
さっきまでの涼しさなんて感じない。
「う、うん。…でも…」
カチンと来た。
「まだ、何かあるのっ!?」
顔を上げて詰め寄った。
「い、いや。美奈の気持ちは充分過ぎるくらい分かってるっ」
近寄り過ぎて、また唇が付きそうになる。
「じゃ、じゃあ、何よ?」
慌てて腕を組んでそっぽを向いた。
「俺も美奈は好きだけど…」
アイツの言葉に胸がドキッと弾んだ。
「じゃ、じゃあ。問題ないじゃ……」
「でも、けじめはちゃんとしたいんだ」
顔を向ける。
アイツの表情は真剣ながら、どこか苦しそうだった。
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