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マネキンなカノジョ
第7章 カノジョとお泊り
壁に背を預け、タバコに火を点ける。
紫煙を揺らめかせながら、明日香ちゃんが姿を消した扉をジッと見詰める。
今までアイツを出しに、明日香ちゃんに何でも言ってきた。
アイツを理由にすれば、明日香ちゃんはマネキンの様に何でもした。
今だって、扉の向こうで言われた通りにしてるはず。
「…ホントに…良いのか……?」
一人ごちたところで、返答するヤツなんて居ない。
これで良いと自分に言い聞かせてきた。
想いを変えようとしてきた事。
叶う訳が無いと分かってるはずなのに、努力してきた。
叶わせたいと努力してきた。
結末はどう転んだって、良い方になんていきやしない。
分かっていながら、最後まで諦めたくは無い気持ち。
他の二人だって知っている。
誰も居ない部屋を見回す。
さっきまでの賑やかさが嘘の様に静まり返って、波の音だけが耳に届く。
…あの扉が開いたら…
「…俺らは…一体……」
美奈たちが出て行った扉から、視線が離せなかった。
タバコの灰がポトリと落ちた。
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