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マネキンなカノジョ
第3章 カノジョとアルコール
 
「だからぁっ。性格少しは直しなって言ってんのぉっ」

「んもぉっ。明日香は今のまんまでいいんだもぉんっ」

 アルコールの力を借りて、いつも言ってる事を強めに言えば、酔っ払いバージョンの明日香は頬を膨らませて聞く耳を持ってくれない。

「だったら、少しは長く話そうよぉっ」

「短くても通じてるもぉんっ」

 『煩いなぁ』とボソッと言葉を洩らして、グイッとグラスを空にした明日香。

 通り掛かった店員に再びおかわりを頼み、待っている間はつまみを頬張っている。


…性格…損してるって…どうやったら…分かるんだろ……


 負けじとおかわりを頼み、唐揚げを口に放り込みながら思案する。

 組んだ足先を動かし、ヒールの付いたサンダルをパタパタと揺らす。

「んもぉ、他のお話しようよぉっ」

 いつも言われている事を言われたからか、明日香の高かった気分も落ち気味だった。

 それでも何とかしないとと思っていた気持ちに、僅かな悪戯心が芽生えた。

「ねえねえ、明日香」

 辺りを見回して、誰も見ていないのを確認する。

「ん? なぁにぃ?」

 小声で掛けた言葉に、トマトを頬張りながら返事をしてくる。

「ちょっとさぁ……。ブラウスのボタン…二個ばかり外してよ」

 そこそこに混み合っている店内。

 普段からしっかりとした服装をしている明日香。

 誰も見ていないとは言え、全てでは無いにしろ、そんな店でブラを見せてって言っているようなもの。

 いくら普段から何でも言う通りにする明日香でも、羞恥心で拒むと思っていた。

「うん、良いよぉっ」
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