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マネキンなカノジョ
第3章 カノジョとアルコール
 
 チャラ男その二のせいで、明日香の事を気にする余裕が無かった。

 そっぽを向いた儘、視線を反対側のソファーへと向ける。

「え………」

 反対側のソファーに座っている明日香の前にあるテーブルの上。

 そこには、いつ頼んだのか分からない程に、空になったグラスが並んでいた。

「ちょ…ちょっと、アンタっ」

 ただでさえ、下戸だった筈。

 それが短時間でテーブルにグラスを並べていれば、流石に見過ごせない。

「にゃあにぃぃぃ?」

 案の定、明日香の口からは、更に幼くなって呂律の回らなくなった声が返ってくる。

 そして今も、呆然としている目の前で、クピクピとグラスを傾けている。

「ちょ…ちょっと飲み過ぎよっ。
 もう、帰りましょっ」

 瞬時に、明日香を出しにして帰ろうと目論む。

 立ち上がっり、明日香の元へと進もうとした時だった。

「もぉ……。まらまら、らいじょうぶらってぇ。
 もっろ、あひょぼうよぉ」

「そうそう。さっき会ったばっかじゃぁん」

「逆ナンしといて、さっさと帰るのは無しっしょぉ?」

 明日香の言葉に同調するチャラ男たち。

 明日香の隣に座る男は明日香の肩を抱いて引き寄せ、チャラ男その二は、腕を引いて無理矢理ソファーに座らせてきた。

「もうっ!」

 人の気も知らずにグラスを傾けている明日香に不満をぶつける。


…もう…知らない……
マジで……知らないからね………


 ドカッと座り直して、目の前にあったグラスに口を付けてグイッと傾けた。

「そう言えばさぁ………」
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