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マネキンなカノジョ
第3章 カノジョとアルコール
 
 明日香の隣に座るチャラ男その一の声に視線を向ける。

 馴れ馴れしく明日香の肩を抱いている事に、否が応でも反応せざるを得ない。

「名前、聞いて無かったよね?」


…教えちゃダメっ…
譬え名前だけでも…こういうヤツラに教えたくないっ………


 見詰めながら、明日香に向かって念じる。

 視線を感じたのか、明日香はニッコリと微笑み返してきた。


…どうやら通じたようね…


 嫌な物は嫌だった。

 それが分かってくれたようで、ホッと一安心しながらグラスを口に傾ける。

「わらひは、明日香でぇ………。あっひは美奈ひゃぁんっ」

 明日香の言葉に、ブホッと噎せたのは言うまでも無い。

「ちょ、ちょっと、大丈夫かい、ミナちゃんっ」

 早速、隣のチャラ男その二が、名前で呼んできた。

「だ、大丈夫よっ」

 心配してくれたみたいだから一応返事をして、差し出されたナプキンで口を拭く。

「もぉ、美奈ひゃんったらぁ。ドジっ娘なんらかりゃあ…」

 原因を作った明日香に、鋭い視線を向けても意味は無かった。

 両手でグラスを持ってクピクピと飲み続ける明日香を睨んでいれば、チャラ男その一の声が再び届いた。
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