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マネキンなカノジョ
第4章 カノジョとネット
 
 チラチラと朝から視線を感じる。

 横目でチラッと見れば、隣の席に座る美奈ちゃんの怪訝そうな顔。

 言いたい事は何と無く分かる。

 分かるから、聞かないで欲しかった。

 気付いていない振りをしながら、パチパチとキーボードを叩く。

 仕事にならない。

 いつもは気にならない椅子の固さが、今日はやけに固く感じる。


…中のスポンジ…ダメになったかな………


 高々一日過ぎたくらいでダメになるとは思えない。

 思えないけど、思いたかった。

 気を逸らそうと、パソコンに向かって仕事に集中しようとした。

 しかし、それでも、座ったお尻は朝からクネクネと動いている。


…お使いとか…無いかな……


 座っているだけで、僅かなアナルの痛みがチクチクと襲ってくる。

 隣でそんな動きを朝からしていれば、美奈ちゃんが気にする理由も分かる。

 分かるけど、返答に困るから聞かないで欲しいと、視線を感じる度に念じる。

 あと少しで昼休みに入るところだった。

 座っていなくて済む時間が待ち遠しい。

 今日は時計の針が進むのが遅れているような錯覚さえ覚える。

 あと数分だった。

「あ、あのさ…明日香…?
 アンタ……朝から…何で………」

「…昼休みだ…」

 とうとう開かれた美奈ちゃんの口。

 その言葉から逃げるように、フライング気味に昼休みに突入して席を立った。
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