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マネキンなカノジョ
第5章 カノジョとお使い
 
 仕方なく乗り込んだバス。

 何と無く、一番後ろの真ん中を陣取る。

「…予想は…出来てた…」

 乗客なんて見当たらない。

 それ程大きくないバスに、運転手と二人っきり。

 ブロロロ…と走る音と、停留所のアナウンスしかない。

 冷房が無いまでも、全開の窓から吹き込む風が頬を撫で付ける。

 陽射しの強さも、少しは楽になった。

 さっきまでと比べたら、少し環境はマシ。

 それでも、僅かに制服の中に熱が残っている。

 誰も居ないと気が緩んでいた。

 気が付いたら、脚を少し開き、スカートの裾を持ち上げてパタパタと扇いでいた。


…まぁ…見えないよね…


 窓の外を眺めながら、暫くパタパタと熱を逃がしていた。

 ずっと続く長閑な田舎の風景。

 停まったと思えば、直ぐ様バスは走り出す。


…信号……必要?


 余りの田舎っぷりにもいい加減慣れそうな時だった。

 駅前から走り出して五分もすると、途端にバスがガタガタと揺れだした。
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