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マネキンなカノジョ
第5章 カノジョとお使い
「…………」
「あー…また…やっちまったぁ」
車外から戻って来るなりの一言。
早々に出た諦めの言葉に、離れた席から半眼で視線を送る。
「あ、いや…またって言うかねぇ……」
「……………」
「良く轍に落っこちて、その衝撃で動かなくなっちまうんだよねぇ…。コイツ、ぼろいしさぁ…」
「……………」
「でも、ほら。会社に無線で連絡すりゃ、直ぐに誰か来てくれるから……」
「…早く…連絡……」
「はいぃっ!」
こんな所でノンビリとしている場合じゃない。
言い訳なんて聞いている場合でもない。
つい、田舎の雰囲気に惑わされて時間を確認していなかった。
慌てて無線で話す運転手の声を聞きながら腕時計を見る。
「………ありゃ…」
時刻は既に五時を回っていた。
何の気無しに外を見る。
確かに、微妙に暗くなっている気がしてきた。
…これは……
着いても…会社……やってる?
新たな不安が頭を過ぎった。
「お姉さんっ。これから迎え出るって言ってるからっ」
最早、頼りないバス会社に任せるしかなかった。