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狂人、淫獣を作る
第1章 獲物
(5)
※ ※ ※
後藤はさっきから言葉を止めたまま、何も言おうとしない。
源は元々つり上がっている唇をさらに少しつり上げた。彼なりのほほ笑みである。そして言った。
「まさかそんな所でかつての親友に出会うとは、確かに場所が場所だけに複雑な心境ではあったでしょうが……さぞかし感動したのでは?」
源は近くの湯呑みを手元に引き寄せ、火鉢の鉄瓶の湯を注いだ。
後藤も唇だけで笑みを作って言った。
「……ああ! もちろん嬉しかったさ! なつかしいだけじゃない、親友だったわけだからな……! それでも彼が倶楽部への入会を考えるほどのSMマニアだったことは知らなかった。しかも『最近奴隷を手に入れた』と言うじゃないか」
「……ほう?」
「これでこいつとまたあの頃のようにお互い腹割った話ができるな、と俺は喜んだんだが……ちょっと問題があった」
「問題……ですか?」
「友人が手に入れたという相手は、高校生で十七歳……しかも教え子ときた」
源が湯呑みの白湯をすする音が和室に響く。後藤が話を続ける。
「……友人が教師になったことは知っていたが、まさか教え子に手を出すとは……そんな男じゃなかったんだが……。しかもやり方も問題だった。その女子生徒をうまく言いくるめて、まあ半ばだまして強引に処女をもらったばかりだと言うんだからな」
「……状況次第では強姦と取られかねませんね」
「それ以前にだ、十八にも満たず、ましてその子の通う高校の教師だって立場上、それだけで下手をすりゃ警察沙汰だ。ところが当の本人はそんなものどこ吹く風、教え子を調教して奴隷として飼う気満々だった。さすがにまずいと思ったね。警察がからんでくれば倶楽部もとばっちりを受ける可能性だってある……友人としても、彼を止めてやるべきではと思い始めた」
後藤は、源のように白湯には興味を示さず、相変わらず熱燗を手酌して続けた。
「……さらにまずいことに友人は、頼んでもいないのにだ、頼んでもいないのに、だぞ? まるで俺に自慢するかのように……得意げな文章つきで……女子生徒の顔写真までメールで送ってきたんだ。事実、自慢したかったんだろう。それだけならまだしも……」
「まだ何か……?」
「……ハメ撮りまで送ってきやがった」
そう言うと、後藤は再び口をつぐんでしまった。