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狂人、淫獣を作る
第4章 淫獣
「後藤氏……それからの私の毎日は地獄でしたよ。何度死のうと思ったか知れない。しかしある時、私は思ったんです。どのみちもう二度とまともな人生は送れまい、顔もこの通りですし……だから死ぬにしても、リナを捜し出して何があったか聞いてからでも遅くはないとね。ところがさっきお話した通り二年前にリナと再会し、口を割らせ、事の真相を知るにいたって、新たな生きがいができた」
源は灼熱の顔についているゆがんだ口を大きく開き――
ニヤリと笑った。
後藤の背筋に、凍死するかと思うほどの悪寒が駆け抜けた。
「そして私はようやく地獄からはい上がった。人殺し以外は何でもやった……その男を地獄に引きずり込むためにね」
――こいつが……
――本当にあの……
――野田……なのか……!?
後藤は必死に自分を保ち、歯を食いしばる。
――何があったとしても……こいつごときが……俺にかなうはずがない!
ようやく後藤の口が意思通り動いた。
「面白いじゃあないか!! 見た目がいくら不気味に変わろうとも、口調を変えて別人になりすまそうとも、中身はそう簡単に変わるもんじゃねえんだよ!!」
「……地獄を見たことのない人間の言葉ですね」
源はニヤリとしたままあっさり言い放つ。
後藤の全身はかすかに震えていた。そしてあらゆる筋肉という筋肉に力が込められてゆき、こめかみには血管が浮き出ていた。拳は爪が手のひらを貫通せんばかりに強烈な力で握られている。その体はさらに巨大に膨れ上がったように見えた。
「後藤氏、暴力に訴えようというなら受けて立ちますよ、しかしね……そんな無粋なことをするより私の奴隷の話、続きをお聞きになりませんか? ようやく私が奴隷を手に入れなければならない理由までお話したのですから」
「そんなくだらん話なんざどうでもいい!!」
後藤がひざ立ちになり、今にもその巨体で源に飛びかかろうとした。
「私の奴隷はね……! 彼女の自宅で、何度もあなたの目の前で、尿道に綿棒突っ込んだまま過ごしたこともあるのですよ。あなたと食事しながらだったかもしれないし、あなたとテレビを一緒に観ながらだったかもしれない」
源の言葉に、飛びかかろうとしていた後藤の体は再び硬直した。
源は灼熱の顔についているゆがんだ口を大きく開き――
ニヤリと笑った。
後藤の背筋に、凍死するかと思うほどの悪寒が駆け抜けた。
「そして私はようやく地獄からはい上がった。人殺し以外は何でもやった……その男を地獄に引きずり込むためにね」
――こいつが……
――本当にあの……
――野田……なのか……!?
後藤は必死に自分を保ち、歯を食いしばる。
――何があったとしても……こいつごときが……俺にかなうはずがない!
ようやく後藤の口が意思通り動いた。
「面白いじゃあないか!! 見た目がいくら不気味に変わろうとも、口調を変えて別人になりすまそうとも、中身はそう簡単に変わるもんじゃねえんだよ!!」
「……地獄を見たことのない人間の言葉ですね」
源はニヤリとしたままあっさり言い放つ。
後藤の全身はかすかに震えていた。そしてあらゆる筋肉という筋肉に力が込められてゆき、こめかみには血管が浮き出ていた。拳は爪が手のひらを貫通せんばかりに強烈な力で握られている。その体はさらに巨大に膨れ上がったように見えた。
「後藤氏、暴力に訴えようというなら受けて立ちますよ、しかしね……そんな無粋なことをするより私の奴隷の話、続きをお聞きになりませんか? ようやく私が奴隷を手に入れなければならない理由までお話したのですから」
「そんなくだらん話なんざどうでもいい!!」
後藤がひざ立ちになり、今にもその巨体で源に飛びかかろうとした。
「私の奴隷はね……! 彼女の自宅で、何度もあなたの目の前で、尿道に綿棒突っ込んだまま過ごしたこともあるのですよ。あなたと食事しながらだったかもしれないし、あなたとテレビを一緒に観ながらだったかもしれない」
源の言葉に、飛びかかろうとしていた後藤の体は再び硬直した。