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狂人、淫獣を作る
第4章 淫獣
「最後に一緒にお風呂に入ったのはいつですか? 最後に一緒に泳ぎに行ったのはいつですか? 彼女の裸体を見ていたのもせいぜい小学生まででしょう?」
源は灼熱の笑顔のまま後藤を眼光で縛り付けながら続ける。
「奴隷をどうやって手に入れた、とお尋ねになりましたね? なあに、ちょっと前まで小学生だった子供なんざ半日監禁するなど、わけないことじゃないですか。最初に彼女に何をしたかは先ほど話しましたね? ただ繰り返しますが幼女趣味はないものでね、今にちまでの一年半にわたる調教も、調教というよりおふざけといいますか、お遊びといいますか、気晴らし程度のものでしたよ。ちょいと玩具をもてあそぶようなものです……とはいえ恥ずかしながら女性経験がほとんどないものですから、私も男ですし欲情することもある。そんな時の性欲処理くらいはさせてもらいましたがね」
「……き……貴……様……!」後藤は全身を震わせて、そう言うのが精一杯だった。
驚愕と混乱と憤怒と――後藤の精神を引き裂くには十分なありとあらゆる衝撃が一度に襲いかかっていた。
後藤はそれでも最後の力をふりしぼり、握った拳を源の顔面へ飛ばそうとした。
その時、源の灼熱の眼光が殺気を強めた。
後藤は拳を宙に振りかざしたまま動けなくなった。
「後藤氏……顔や職を失ったことなど私にはどうでもいいことなんですよ……人生で初めて愛した女を奪われたことの方が、重大だった」
そう言うと、源は将棋盤の端に置いてあるいくつかの駒の一つをつかんだ。
将棋盤の一角には数個の駒が配置されている。詰め将棋だ。
「あなたは捕まえた駒をあっさり捨てる。私は捕まえた駒を……」
源はつかんだ駒をあるマスに軽快な音を立てて置いた。
「……目的に使う」
源の一手で、盤上の玉は詰まった。
源は懐から、鍵がぶら下がる桐の木片を取り出して後藤に差し出した。
「私の部屋に奴隷を待たせています。きっと極上のおもてなしをご提供できますよ」
二人の男は、しばらくの間微動だにせず向かい合っていた。
源は口をさらに大きく開けてニヤリとして、後藤に眼光を突き刺している。
後藤は全身を細かく震わせたままである。
やがて後藤は何とか体を動かし源から鍵を奪い取ると、真っ赤な業火に灼かれている部屋から走り去っていった。
源は灼熱の笑顔のまま後藤を眼光で縛り付けながら続ける。
「奴隷をどうやって手に入れた、とお尋ねになりましたね? なあに、ちょっと前まで小学生だった子供なんざ半日監禁するなど、わけないことじゃないですか。最初に彼女に何をしたかは先ほど話しましたね? ただ繰り返しますが幼女趣味はないものでね、今にちまでの一年半にわたる調教も、調教というよりおふざけといいますか、お遊びといいますか、気晴らし程度のものでしたよ。ちょいと玩具をもてあそぶようなものです……とはいえ恥ずかしながら女性経験がほとんどないものですから、私も男ですし欲情することもある。そんな時の性欲処理くらいはさせてもらいましたがね」
「……き……貴……様……!」後藤は全身を震わせて、そう言うのが精一杯だった。
驚愕と混乱と憤怒と――後藤の精神を引き裂くには十分なありとあらゆる衝撃が一度に襲いかかっていた。
後藤はそれでも最後の力をふりしぼり、握った拳を源の顔面へ飛ばそうとした。
その時、源の灼熱の眼光が殺気を強めた。
後藤は拳を宙に振りかざしたまま動けなくなった。
「後藤氏……顔や職を失ったことなど私にはどうでもいいことなんですよ……人生で初めて愛した女を奪われたことの方が、重大だった」
そう言うと、源は将棋盤の端に置いてあるいくつかの駒の一つをつかんだ。
将棋盤の一角には数個の駒が配置されている。詰め将棋だ。
「あなたは捕まえた駒をあっさり捨てる。私は捕まえた駒を……」
源はつかんだ駒をあるマスに軽快な音を立てて置いた。
「……目的に使う」
源の一手で、盤上の玉は詰まった。
源は懐から、鍵がぶら下がる桐の木片を取り出して後藤に差し出した。
「私の部屋に奴隷を待たせています。きっと極上のおもてなしをご提供できますよ」
二人の男は、しばらくの間微動だにせず向かい合っていた。
源は口をさらに大きく開けてニヤリとして、後藤に眼光を突き刺している。
後藤は全身を細かく震わせたままである。
やがて後藤は何とか体を動かし源から鍵を奪い取ると、真っ赤な業火に灼かれている部屋から走り去っていった。