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勤労少女
第1章
安っぽいラブホテルの薄暗い照明の中で、その中年の客は詩緒莉の脚を大きく開かせ、欲望むき出しに必死に腰を振っている。少し口臭のする息で荒々しく呼吸しながら、時々詩緒莉の乳首を舐めている。
可愛いねとか、やっぱり中学生は締まりがきついねとか、メガネが似合ってるとか、何かいろんなことを男は言ってるみたいだが、詩緒莉はほとんど聞いてなかった。もう三人目だからこれで今日は終わり、ということしか考えてなかった。放課後に『出勤』して、客一人あたり一時間ほど時間を取られるので三人が限界だ。
セックスは好きでもなければ嫌いでもない。気持ち良いかといえばそうでもないし、気持ち悪いかといえば悪くもない。やがて、客は射精するとコンドームを外し、こんなに出たよ、と詩緒莉に見せた。詩緒莉は愛想笑いとともに一言二言応じたが、何を言ったか覚えていない。
最後の客を先にホテルから帰らせると、詩緒莉は部屋のバスタブにお湯をためてゆっくり浸かった。そして髪も含めて全身を洗った。最後の客の後は必ずそうしてる。家に帰ってから風呂に入らなくて済むし、節約になるからだ。
詩緒莉は髪を乾かし終わると、フロントで精算を済ませ、ホテルから歩いてさほど遠くない喫茶店へと入っていった。昭和の昔からずっとあるような古びた喫茶店だ。
時間はもう二十一時前だ。そろそろ『閉店』時間だ。喫茶店の隅っこに陣取っていた他の仕事仲間もほとんど帰ったようで、『店長』と『隊長』以外は『姫』は一人しか残っていない。
「お疲れ!」
恰幅のいいえびす顔でスウェット姿の『店長』が、入ってきた詩緒莉に声をかけた。詩緒莉は軽く頭を下げた。
詩緒莉は『店長』の前まで来ると、バッグから一万円札二枚と携帯電話を手渡した。売上は折半で、ホテル代は自分で出すことになっている。『店長』は携帯電話だけ受け取り、二万円はそのまま『隊長』に渡した。『隊長』は『店長』と対照的にギスギスに痩せている。『隊長』はびっしり数字で埋まったノートにボールペンを走らせながら『店長』を見ずに二万円受け取った。
「……失礼します」詩緒莉がそう言うと、
「おう! 明日も大丈夫?」と店長が聞いてきた。
詩緒莉はゆっくりうなずいてメガネを指で直すと、喫茶店を出た。