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第10章 先生って大変

憂鬱な月曜日。
昨日まで、先輩とリフレッシュしていたのに、月曜日だけは、好きになれない。

先輩のことを巧と呼んでしまいそうで、気を使う１日だった。


「よっ。ちょっと待ってた。」

私は、晃聖がいることに驚いた。
会社の人の目が気になり、端っこに引っ張る。
女子社員が晃聖を見て、耳打ちしている。


「なんで、会社にくるのよ！」
小声でいう。

「こんな、人気の少ない所に連れてきて、キスでもしてほしいの？」

「ばかっ！違うでしょ！どーしたの？！」

焦っている私のことは、お構いなしに自分のペースを崩さない彼。

「一緒に帰るためだよ？一昨日、家に行ったんだけど、留守みたいだったから…。」
寂しそうな顔ですうつむく彼。

「私も、少しでかけてて…！」

「男と？んじゃあ、俺とだっていいよね？」

少し怒ったような口調で言われ、体が強張ってしまう。

ーグイッー

「ちょっと！」

手を繋がれ、会社から出て行く。

「すげー、会いたかった。」

ボソっと呟かれ、ドキドキしてしまう。

「買い物していく。夕飯一緒に食べよ？」

（そういえば、ご飯作れるとか、言ってたなぁ…。）

買い物カゴを押して、スーパーをあるく２人。
冷静に彼を見ると、スーツ姿がすごくさまになっている。
身長も高いから、本当にかっこよく見える。

「田辺先生…？」
大学生だろうか。目の前に立つ独りの女の子。
黒髪ロングヘアーが印象的だった。
色白でかわいい、守ってあげたくなるような子だった。　

「おー。買い物か？エラいな！自炊してんのか！」
生徒の頭をポンと触る晃聖。
彼女は、顔が真っ赤だった。

「先生…彼女ですか？」
私の方を見てそう言う。

「ん。そー。彼女。」
私は、驚いてしまったが、話を合わせた。

「こんばんは。はじめまして。いつも田辺がお世話になってます。」

無難なあいさつ。

「先生に彼女…いたんですね！なんか、安心しました！」

彼女の顔はわらっているが、どこか引きつっている。
私は、それがひっかかった。