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ジャスミンの芳香~悦楽エステ令嬢~
第5章 SUMIKA
地方都市の駅前はロータリーで
大通りに向かって数本のデッキが延びている。
デパートや雑居ビルの灯りがデッキを照らしている。
20数階建ての高層マンションも見える。

駅からまっすぐ歩くと幹線道路と交差する。
そこを渡って直進すると、ちょっとした商店街がある。
飲食店や靴屋、文房具店、クリニックや獣医院。
早仕舞いの店もあれば、これから賑わう店もある。

しばらく歩くと戸建ての住宅も目立ってくる。
その辺りに、白塗りの小洒落た建物がある。
エステサロンだ。


開業して半年も経っていない。
スタッフはほんの若干名だが、地元客で予約はほぼ埋まっている。
経営はそれなりに成功していると言える。

外開きの硝子扉から店内の様子が伺える。
夜も更けている。待合室には誰も居ない。

店内に入るとすぐ、上品な薫りに包まれる。
内装や什器は、よく見るとありふれたものだ。
しかし白を基調とした質素なデザインに
心地良い統一感がある。

店内のスポットライトは半ば消灯している。
閉店の準備はあらかた済んでいるようだ。

店内に流れるべき有線の音楽も、もう止めている。
静謐な雰囲気だった。
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