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彼依存
第11章 記憶の一部
《何故自分の子を愛せない?》
お父さんは確かにそう言ったの
私は貴方の本当の子じゃないわ。
お母さんの連れ子…
お父さんは前妻との間に生まれた子を
愛しているの。
子供ながらに心にきた…
じゃぁ、私の事は?
血は繋がってないけど
愛してくれているの?って
曇る表情は私も同じだった。
気を利かせて笑ったのなんて
お父さんにはすぐばれて
しっかりフォローされるんだから…
「お父さんは藍ちゃんの事を
他人の子だと思った事はないよ?」
「うん…」
「愛してる、君もお母さんもね」
嗚呼、世の中にはこんな素敵な事を
こんな素敵な笑顔でスマートに
言える人って居るんだ…
「私も…皆大好き…だよ?」
《愛してる》
私が使えるほど子供向きの言葉じゃない。
愛の深さも重さも分かってない。
でも何とか気持ちを伝えたかった。
《大好き》
告白したみたいな
ソワソワした気分になったのを
覚えている…
「ありがと
藍ちゃんの心はとても綺麗だね」
「でしょ?」
照れ隠しに言ったのに
耳は紅く染まり胸の鼓動は早さを増した。