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彼依存
第15章 ステージ8


いつものように朝食をつくる陸に
優しく起こされる。
味噌汁の良い香が部屋に行き渡る頃
ソフトな口付けで目が覚めた。



「ん、おは…よ」


「顔洗っておいで」


「はーい」



寝ぼける頭を何とか回転させ
欠伸をし洗面所へと足を運ぶ。
鏡の前に並ぶのは
仲良く並んだ歯ブラシが3本…



「ふふっ、おかしな絵」



毎日見慣れてきた光景だが
なんとなく笑いがこみあげる。
鏡に写る私は雅の服を着ていて
雅の香に包まれてるのに…彼氏は陸。



「変なの…」



顔を洗った私は自分を見つめながら
何かを必死に考えていた。
でもやめた…



「何を考えたらいいか分かんないや」



簡単に髪を整え
肌の手入れをしていると
キッチンから声がかかる。



「藍ーっ。できたよ」


「ん、今行くよ」



雅は基本寝坊。
起こさなければ昼まで寝てるから
午前中はあんまり私たちも声をかけない。
だから慣れたようにキッチンで
立ったまま朝食を摂ったりする。



「よく寝るね」


「陸は早起きだね」


「気持ち掴むためには
胃袋からって言うだろ」


「私の胃袋掴むの?」


「駄目?」


「いや、もう捕まってる…
いろんな意味でね」




一瞬頭に過った監禁って言葉は
御飯と共に流し込んでおこ。




「雅が起きたら外行こっか」



「うん、買い物行かなきゃだしね」



「今日は雅が店連れてってくれるみたいだよ」



「どこの?」



「雅の」



「え、雅ってお店やってたの?」



「知らなかったっけ?
俺言ったと思ってたけど」



「聞いてないよ
楽しみ、どんなお店かなぁ」




きっと…アクセサリーショップ
だってやたらシルバーのもの多いしね。



「うん、楽しみだね」



陸の含み笑いも気づかずに…




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