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彼依存
第17章 複雑な関係
部屋に入ってくる藍ちゃんは
どこか申し訳なさそうに下を向き
二人の前に立ち尽くす…
「み、雅…あの…」
話だしたのは藍ちゃんからやった
つまりながらも何かを伝えようと
服の端を握り締め
わずかに緊張しているのか
声が震えてた
「何…?」
「雅、すき」
「ん、知ってるわ」
笑って返してやる
それが今できる精一杯の優しさで
藍ちゃんが笑えるようなるなら
悩まんでええなら
いくらでも笑ったるわ
「藍ちゃん、俺も好きやからな」
「俺も藍を好きだ」
少し間を置いて
また申し訳なさそうに言うんやな
「私も…好き」
これでええやん
もう好きなんは変えられん
兄貴も俺も好きなら
二人に愛されてたらええ
「藍ちゃん、欲張りやな」
「ごめ…なさい…」
「ええねん
藍ちゃんが倍幸せなれるんなら
言う事ないわ」
藍ちゃんが部屋に来てから
甘い香りが漂ってる
少し困った顔で俺を見つめ
陸を見つめる
あかんわ…
困った顔すら可愛い
もっと困らせて悩ませて
藍ちゃん苦しめたい
笑わせたいはずなのに
苦しむ藍ちゃんも可愛いなんて
下衆って分かってる
それはきっとコイツも…
陸も同じ気持ちやろ…
「俺達、最低やな」
「あぁ、本当にな」
自嘲気味に笑い目を合わせる
本当に苦しむなんて
この時は知らんかった…
間違った選択だったと
後になって知るんや…
「おいで、藍ちゃん…」